こんにちは。さず(@sazuu_jiro)です。
本選びに迷っている人に向けて、自分の頭の整理も兼ねて、読み終わった本の内容をまとめています。
読むべきかどうか悩んでいる人は、前半部分だけでもご参考にどうぞ。
【前半】
・どのような内容の本か
・評価とオススメ度
【後半】
・なぜ読もうと思ったのか
・気づきと行動アイデア
・引用メモ
今回は、福田康隆さんの「THE MODEL」をご紹介します。
タップできるもくじ
「THE MODEL」はどのような内容の本か
「サブスクリプションビジネスの営業活動」を経験を元に解説してくれている本です。
セールスフォース・ドットコムの創業者であるマーク・ベニオフとの会話内容など、福田康隆さんの過去の体験から得られた学びに関する記述もあります。
そもそも「THE MODEL」とは?
THE MODELとは、顧客の獲得やサポートといった営業活動の一連の流れのこと。
具体的には、営業活動を以下の役割に細分化し、それぞれが協力して営業活動を行うことで成果の最大化を目指すモデルです。
■役割
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
各組織の役割説明や管理指標など、実務で使えそうな内容も含まれています。
構成と簡単な内容
本書の構成はAmazonの試し読みで見ていただければわかるので、自分なりに噛み砕いで構成をまとめると以下です。
■構成
- セールスフォースで学んだ営業スタイル
- 日本に戻って展開する時の苦労や工夫
- 具体的な組織の役割やマネジメント方法
- 市場戦略や人材育成・組織について
「3.具体的な組織の役割やマネジメント方法」が最もボリュームがあります。
各組織が何をするのか、より効果的に機能させるためにはどうすれば良いのかが述べられています。
「THE MODEL」の評価とオススメ度
誰でもとりあえず読んでおけみたいな、よくある自己啓発の本ではないです。
評価とどのような人にオススメできるのか、説明していきます。
評価
著者の福田康隆さんが過去の経験から得た一次情報が多く語られていて、サクッと読めました。
個人的な評価は高いです。理由は以下の通り。
- SaaSビジネスの営業モデルを理解できた
- カスタマーサクセスの役割を理解できた
- マネジメント手法について、学ぶところがあった
営業経験のほとんどない私ですが、営業活動全体の流れを理解できました。
マーケティングやカスタマーサクセスがどのように営業と関わるのかなど、具体的なイメージを持つことができて良かったです。
どんな人にオススメできるか
以下のようなことを考えている方には、特にオススメできる本かなと。
- 営業として働いている人
- 営業活動に興味がある人
- SaaSビジネスに興味がある人
- マネジメントに悩んでいる人
営業活動やSaaSビジネスに関することはもちろん、マネジメントに関するアドバイスも多いのが本書の特徴です。
SaaSのビジネスモデルを知ることは顧客としても有益なので、ビジネスマンなら直接SaaSビジネスに関わりがなくても読んで損はないかと。
ここから先は個人的なメモです。
内容の説明などは期待しないでくださいね!
「THE MODEL」をなぜ読もうと思ったのか
以下の動機から、この本を読んでみることに。
- 転職先がSaaS企業なので
- SaaSの営業を知りたかった
- サブスクリプションを理解したい
- NewsPicksでの著者の福田さんの記事がわかりやすかった
転職先がSaaS企業ってのが一番大きい理由です。
この本以外にも、転職先企業の理解に活かせそうな本は2冊ほど購入。
これらも読み終わったら、また内容をまとめる記事を書く予定。
気づきと行動アイデア
従来型の営業は非効率に陥る。
理由は性質の異なる仕事をこなさないといけないから。
→性質の似た仕事を固めて、1日単位とかで頭を切り替えるようにする。
カスタマーサクセスは、マーケや営業に顧客から得た情報をフィードバックした方が良い。
→カスタマーサクセスとして、自分より前の工程のどこに問題があったかを常に意識する。
顧客のステージに応じて、どのような対応をすべきかを考えないといけない。
→顧客がどのステージにいるのか、そこで最善の手は何か、を常に考える。
引用とコメント
行動アイデアまでは落とし込めていないが、響いた箇所を引用してコメントを残してます。
THE MODEL ー 分業から共業へ
成功モデルとは完成したモデルではなく、完成に至る過程で行われた何百何千という意思決定のプロセスそのものだからだ。それを自分のものにすれば、環境や条件が変化しても自ら対応できる。
これこそ、私がビジネスで最も大事だと考えている「再現性」だ。
仮に失敗に終わったとしても、意思決定のプロセスを経験しているということが重要で、それは再現性のあるスキルとなり得る
自分で一通りプロセスを体験しないと身につかないのでは、社会は進化しない。他者の経験を学び、自分のものにできれば大きな価値がある。
先駆者の教訓から学び、自分のケースに当てはめて考えて試すことで、より効率的に大きな価値を生み出すことが出来る。
昼休みも、急いでビルの1階にあるフードコートでブリトーを買い、 15 分ほどで食べて再び仕事を開始する。
日本では、みんなで連れ立ってタバコを吸いに行ったり、仕事中におしゃべりする光景をよく目にしていたので、仕事への集中力に驚いた。
日本人はワーカホリックだと言うが、アメリカ人の集中力と密度の濃さに、日本人は到底及ばない。
モーレツに働くことが良いとは思わないが、メリハリをつけることは非常に重要。
当時の同僚に「お客さんから電話じゃなくて会いに来いと言われないのか」と質問すると、以前はそういう傾向もあったが、2001年のテロ以降は飛行機での出張を控える企業が増えて、急速にウェブ会議が増えたらしい。
「相手も慣れているから問題ないよ」と言われて、なるほどそんなものかと思った。
アメリカでWEB会議が進んだのは、テロの影響もあったのか。
分業体制のメリットは、最終的な売上だけを見るのではなく、 各プロセスを担う部門のパフォーマンスを評価する中間指標を設定し、どこがボトルネックなのかを把握し、すぐに対策が打てるということにある。
これこそが分業制の最大のメリットだと思う。
従来型の営業だと、そもそもデータが存在しなかったり、主観的な要素で判断されてたりする。
成功体験がないことは不安にもつながるが、逆になんでも素直にやってみよう、うまくいかなかったらその時に考えればいい。
そう思い切ることができた。
まさに「ビギナーズマインド」といったところだろうか。
プロジェクトに未経験の人を入れるメリット。
特に新しいチャレンジをする時は、近しい領域での成功者だけを揃えれば良いという訳ではない。
マーケティング
リターゲティング広告で見込客を追いかけ、フォーム入力のコンバージョンと同時に電話をかけるオペレーションをガリガリ回すことで売上を伸ばすことが可能だったかもしれない。
今でもこうしたやり方で、一定の確率で商談化につなげることはできるだろう。
しかし、同じくらい不快に思う人を増やすことは確実だ。 そのようなオペレーションをしている企業からは顧客の心は離れていくだろう。
目の前の数値を良くするためのアクションが、将来的な顧客を減らしてしまっているかもしれない。
顧客は、送られてくるメッセージやコミュニケーション手法を見て、その企業が顧客視点に立っているか否かを判断する。
顧客視点に立っているかは重要で、大量にメルマガを送ってくるような企業はアウト。
担当者が報告するためだけに、何かしらのアクションをしていたりする。
インサイドセールス
インサイドセールス個人が自分が担当する過去リードにメールを送るか、昔ながらのコール先リストに片っ端から電話してアポイントを取るのと変わらないオペレーションが展開される。
これは典型的な労働集約型の仕事だ。
非効率なオペレーションで数字を増やそうとすれば、人手でカバーするしか方法はない。インサイドセールスの人数が売上の成長と共に増え続けている会社は、このパターンにはまっていないか疑ってみるべき
セールスの人数を増やして売上が増加するのは当たり前で、同じ人数でより高い成果を出すにはどうするかを考えることが重要。
これまで多くの企業では「機能別組織」、つまり顧客視点ではなく、社内の業務プロセス視点で作られた部門が個別最適で動くモデルだった。
社内視点から顧客視点の組織を変更するには、内部からの反発があるので、改革が難しくなることを覚悟しないといけない。
そもそも人間という生き物自体が、所属するグループを分けた時点で「内と外」という判断をして敵対意識を持つということ。
対立する2つのグループの関係を良好なものにするためには、単に接触回数を増やしたり、コミュニケーションの内容を改善するだけではなく、 共同で作業をすることによって達成可能な共通の目標が有効だということである。
共同作業を実施することが重要なのに、単に接触回数を増やすだけのコミュニケーション改善案が多いように感じる。
交流会と称した飲み会や、取り組み内容の発表会など、これを通して仲良くなったケースはほとんどない。
インサイドセールスのマネジメントに求められるのは、コール件数や商談化の件数などの数字だけではなく、「良い仕事」と「いい加減な仕事」を峻別して評価できる眼力だ。
インサイドセールスに限らずに重要な視点だと思う。
「いい加減な仕事」で評価されるようになると、「良い仕事」をしてる人が離職したり、損失が発生する可能性がある。
やって見せ 説いて聞かせて やらせてみ 讃めてやらねば 人は動かぬ。 山本五十六
「やってみせる」「褒めてやる」。ここが出来ている上司は、間違いなく信頼される上司。
営業(フィールドセールス)
一線級の営業イコール「売れる営業」という意味ではない。
私自身、インサイドセールスを立ち上げる時、営業で活躍していた人に「この仕事をやってくれないか」とお願いして異動してもらったことがあるが、彼には高い営業能力、社内外に対するコミュニケーション能力、周囲からの信頼に加えて、組織のために働くという献身的な姿勢があった。
「売れる営業」が正義になりがちだが、組織のために献身的に動ける姿勢の重要性を忘れてはいけない。
数値評価を昇給・昇格の条件として優先してしまうと、質の低下をはじめとする様々な問題が出てくるだろう。
数値を取っていればそれだけで良い、という方針には注意が必要。
数値に繋がらない仕事も確実に存在するので、その仕事が疎かになることで、問題が発生する可能性あり。
最も重要なことは、定期的なフォローを漏らさないこと。
また相手が気づいていない課題に気づかせてあげること。ほとんどの会社は自分たちの課題そのものに気づいていない。
わかりきっている課題を解決してあげるだけでは、十分な仕事をしたとは言えない。
自分たちでは気がつかないような課題を気がつかせて、それを解決させることが営業やカスタマーサクセスの価値に直結する。
他社の悪口を言ったり、誤った情報をインプットするような営業活動をしていては、顧客からの信頼は得られない。
売りたい気持ちが先行すると、他社の足りてないところを指摘しがちになるので要注意。
ガイドラインの設定は重要だが、異なる特性を持つ営業を標準化しようとせずに、 マネジメントが営業一人ひとりの性格やクセを理解して、アジャストしていくことのほうがはるかに現実的。
ルールを設定することに躍起になりがちだが、管理職として、一人一人のメンバーに向き合うことから逃げてはいけない。
相手の会社に対する関心を持たない限り良い提案はできない。
本当の意味で相手の立場で考えられなければ、良い提案が出来る可能性は低い。
カスタマーサクセス
「自分の役割はここまで」と限定するようなタイプや、周りの人を巻き込まずに自分一人で解決しようとする人には向かない仕事
マーケティングやセールス、プロダクトそのものにフィードバックが求められる。
契約してから長い間、お客様と関係を持つことになるので、課題を吸い上げて、お客様利益を追求していく姿勢が重要になる。
自分が知っていることを教えるのではなく、顧客から学びながら自分をバージョンアップしていく向上心が、カスタマーサクセスには求められる。
顧客の成功を目指していくためには、お客様以上にお客様のビジネスに関心を持って、自分も成長していくことを意識する。
これからは、新規契約を獲得するという仕事の重要性は薄れていき、中長期的に利用・拡大につなげられる能力を持った人材が中核的な存在としてますます必要とされる時代になるだろう。
利用に応じた課金などが収益の中心になるビジネスが増えてくると、新規獲得よりも、活用支援による顧客の成功が重要になる。
このようなビジネスモデルが広がると、カスタマーサクセスの重要性は上がっていく。
市場戦略
アクセルを踏みすぎて失敗した企業よりも、アクセルを踏むべき時に踏まないまま失敗した企業のほうが圧倒的に多いと思う。
これは個人の行動にも当てはまると思う。チャンスを見逃さずに、いかに全力で取り組めるかが重要。
大手企業で成功した人がスタートアップなど小さい企業に転職した時に失敗することが多いのは、強者から弱者へ立場が変わったことを忘れて、強者の戦略を弱者でやろうとしてしまうからだ。
大企業からベンチャー企業に転職する身として、ここは明確に意識をしておきたい。
過去の成功体験に縛られすぎず、新しい環境で成果を出すにはどうするべきかを考える。
リソースマネジメント
私のこれまでの経験則になるが、 組織全体の達成率が平均 80%くらいの水準 であれば、営業が無謀な目標と思わず、達成させようという意欲を持てる範囲ではないかと。
マネージャーとして目標設定は、重要だが難しい業務のひとつ。
メンバーのモチベーションを下げずに、頑張る気力になる目標設定のひとつの指標として意識しておく。
マルケトの創業者で当時CEOだったフィル・フェルナンデスが「プロダクトマネージャーは最初から採用したほうがいい」と強く推薦してくれた。
彼がマルケトの前に勤務していた会社が日本に進出した時、顧客の声を聞き、製品に反映させることの重要性を痛感したからのようだ。
顧客の声をプロダクトに反映させることは、企業だけでなく個人事業主にも重要な観点。
パフォーマンスマネジメント
経営者は数字に強くなければならない」とよく言われるが、数字に強いとは、指標の意味がわかるということではない。
大切なのはデータを鵜呑みにせず、数字から今何が起きているかを想像する力である。
数字から何が起きているかを想像する力、これは大企業の時でも、考えてる人と考えてない人では大きな差がついた。
優秀なマネジメントは例外なく、ただ漫然と数字を見るのではなく、「何を見るか」を強く意識している。
そうすればデータを見た瞬間、異常値がパッと浮かび上がって見えるのだ。
大企業で勤務していた時に、役員レビューをすると、必ず数値に関する鋭い指摘をしてくる役員がいた。
超人だと思っていたが、「何を見るか」を強く意識してる、という言葉に納得。
人材と組織
以前、採用面接で「私が今までやって来たことが本当に通用するのか、自分は井の中の蛙なんじゃないのかと不安になるんです」と言った人がいて、思わず「そう思わない人のことを井の中の蛙と言うんですよ」と話したことがある。
これはまさに。
不安にならない人こそが井の中の蛙であって、行動した方が良いと思ってる人は、すでにその領域を脱し始めている。
経験に裏打ちされた自信にあふれている人が魅力的なのはもちろんだが、不安な気持ちを奮い立たせて新しいことにチャレンジしようとしている人は、それ以上に魅力的な社員だと言えるのではないだろうか。
性格や人柄を面接で判断しようとしてくれて、未経験分野でも採用してくれた、いまの会社に感謝。
A級プレーヤーは素晴らしい人材どうしで働く楽しさ、やりがい、高揚感などを知っている。
だからこそ、A級プレーヤーを呼び込んでくれる。一度経験をしたら、二度とこの魅力から離れられないからだ。
これは本当にそう思う。優秀な人材ほど、心地よい状態を知っていて、その環境を作るためには人も呼んでこれる。
仕事はリズムを作ることが大事で、同じリズムで仕事をすればするほど「ゾーン」に入りやすくなる。
逆にスイッチを入れたり切ったりすることが多くなればなるほど、量はこなせないし、結果的に質も下がってしまう。
質の全く異なる仕事を「兼務」としてやっていた経験があるが、それぞれの打ち合わせが交互に入ったりすると、どうしても頭が働くなってきた。
リーダーシップ
1人で1億円売っていた人が、部下が5人いても5千万円しか売れないということになってしまうのが、マネージャーという仕事の難しさである。
プレイヤーとして優秀な人が、マネージャーとして優秀とは限らない。
日本の企業で上を目指そうとすると、マネージャーになることを求められるので、スタープレイヤーとしてのキャリアを歩めるような制度になっていると良い。
自分もマネジメントとしての経験を積むにつれてわかってきたが、役職が上になればなるほど部下は意見を言ってくれなくなる。
しかし本当は、どんどん自分の意見をぶつけてほしいし、それに対する議論が起きることを望んでいるものだ。
若手の頃は臆せずに意見できていたのに、昔よりも意見できなくなってしまっている気がする。
「めんどくさいやつ」と思われても、それが議論のきっかけになると信じて、思っていることは率直に発言。